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最終更新日:2021年02月26日
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第424話「律子さん47」

興奮の為か、A子の声が次第に大きくなる。
「話になんてならないよ。絶えず上から目線で言ってくるし、自分の言う事は絶対正しいって思ってるから私だって頭に来ちゃうし、最後はいつも喧嘩だよ」
A子の話を聞いて、私はいかに恵まれているのかが良く分かる。
「その点、律子の旦那は良いよね。イケメンだし優しいしさ」
確かにA子の言う通りだ。若い頃は勿論だったが、中年となった今では、渋みが出てきてますます良い男になった。性格だってA子の旦那とは雲泥の差がある。
「そんな事ないよ。最近はすっかりオッサンになったしさ」と私は物凄く謙遜して言った。
「A子の旦那って料理人でしょ?」と私が言うとA子は嬉しそうに話し出した。
「そうよ。レストランの店長。でも今月いっぱいでクビになるの。初めて無職になって、必死で仕事を探すザマを見てやろうと思って」
「それで、きっとA子の気持ちが分かる思うよ」
「もう遅いよ。散々私を無能呼ばわりしたんだから。私が仕事を見つけたら、あんな奴とはさっさと離婚してやる。蓄えも全部私が貰う。大してないけどね」
「旦那が渡さないって言ったら?折半しようとか」
「通帳も印鑑も私が持ってるんだから、こっちのもんよ。慰謝料にしたら安過ぎるくらいなんだから。そしてボロ布みたいに捨ててやるんだ」A子夫婦に子供がなかったのは、せめてもの救いだと思った。
「どうしてクビに?」
「料理の才能が無いからよ」
「でも店長だって・・・」
「そんなの最初っから無理だったのよ。このピザを食べれば分かるでしょ?」A子は、すっかり冷めた箱の中のピザを冷たい目で見ると、箱ごと持って立ち上がり、台所の三角コーナーにピザを捨てた。
ちょうどその時インターホンが鳴った。
それを聞いたA子が言った。
「宅配ピザを頼んでおいたの。口直ししましょう」A子は笑みを浮かべた。その顔は高校の頃、窓の外を見てニヤついていたA子の顔そのものだった。

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