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最終更新日:2019年11月14日
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第512話「遠い記憶」

祖父は老眼鏡を外すと新聞をたたみながら言った。
「老眼が進んだかな。何だかよく見えんな」
「それって一番きついやつでしょ?」その歳で老眼が進むなんてあるんだろうかと思いながら僕は言った。
「そうなんだ、また違うの買わんきゃならんかな。だけど、これだけ医学が発達してるのに、何で老眼を直す手術とか薬がないだろうな。お前もなってみりゃ分かるだろうが、本当に不便なもんだぞ」
「爺ちゃんは、元々目は良かったの?」
「子供の頃から1.5だけど最近は測ってないな。そうだ!測ってみるか」祖父は自分の部屋から何やら掛け軸の様に丸めた紙を持って来て広げ始めた。
それはメガネ屋のチラシで、裏側に視力検査の記号が書いてあった。Cの記号が上や横を向いたお決まりのやつだ。
かなり昔に新聞の折り込みとして入っていた物らしく、さすが年寄りは物持ちが良いと感心していると、祖父はそれを壁に貼り付け、更にメジャーで距離を測り、床に十センチほどに切った黒いビニールテープを貼り付けた。かなり手慣れている。
今はパソコンでもできるのだが、あえて黙っていた。
「子供の頃は毎年身体測定があって、その時に目の検査をしたもんだ。学校に軍医が来てな、そりゃ怖かったよ。今でもハッキリ覚えてる。ちょっとでもおしゃべりすると、怒鳴られたり、殴られた奴もいたな。今じゃ考えれん事だけど」と祖父は言うと、植物用の緑色の細長い支柱を僕に手渡した。どうやら指し棒の代わりの様だ。
更に祖父は台所へ行くと、お玉を片目に当てた。
「何か違うな。あっ、これが良いか」祖父はシャモジを台所の引き出しから取り出すと、片目に当てて満足そうに頷いた。準備が整ったようだ。
僕は祖父がテープの外に立つのを確認すると、緑色の指し棒で、まず一番大きな記号を指した。
「はい、これ」すると祖父は、何かスイッチでも入った様に背筋をピーンと延ばすと大声で言った。
「はい!右であります!」

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