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最終更新日:2024年04月26日
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第101話 「真夜中の訪問者1」

僕がまだ学生時代を札幌のボロ下宿で生活している時のことだった。
寝ていると、ベッドの足元にあるドアから一ヶ月前に交通事故で死んだ友達が入って来て、僕の目の前であぐらをかいて座った。
「最近さ、みんな俺のことを無視するんだ」と言って彼は怒っていた。
「そりゃそうだろ、お前死んだんだからさ」夢という意識はないのだが、何故か自然に話す事ができた。
「やっぱりか?なんかそんな気がしてたんだけど、どうしたら良いんだ?この先」
「さあな、俺も死んだ事ないから分んないけど、死んだら死んだで、どっか行く所があるんじゃないのか?」
「付き合ってくれないか?行き方分んないから」
「そりゃ無理。絶対無理。まだ俺死にたくないもん」
「俺だって死にたくて死んだ訳けじゃないぞ!」
「でも死んだんだから仕方ないだろ!死んでからも我がまま言ってんじゃねえよ」
「・・・ご免。そうだよな、みんな一人で生まれて一人で死んで行くもんなんだよな」寂しそうに友達は言った。変な夢だった。
食堂で朝食をとっていると、隣の部屋に住んでいる友達が話し掛けて来た。
「夕べ誰か来てたのか?」
「えっ?誰も来てないよ」
「嘘つけ、話し声が聞こえたぞ、よく聞こえなかったけど、死にたくて死んだ訳じゃないとか何とか」その瞬間、僕の全身に鳥肌が立ち、背中に寒気が走った。
「おばさんっぽい人の声も聞こえたな」
「おばさんの声?」僕が食事の片付けで立ち上がった瞬間、耳元で声がした。
「わたしだよ」聞き覚えのある声だったが、後ろを振り向くと誰も居ない。その目線をゆっくり下に移すと、髪の長い女性が僕のふくらはぎの辺りで両膝を抱え、うつむいた状態でしゃがんでいた。やがて女性の頭がゆっくりと動き、目が合った。それは三年前に亡くなった実家の近所に住んでいたおばさんだった。

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