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最終更新日:2024年04月26日
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第118話 「蜘蛛の糸」

しきりに鏡を見て髪をいじってるAにBが言った。
「どうした?ハゲて来たのか?」
「いえいえ。まだまだフサフサしてますよ」AはBを見て笑いながら言った。
「何よ、それって俺に対する嫌みなの?」
「いえいえ、そんな事無いっすよ」
「お前さ、最近何だか俺に対してちょっと反抗的なんじゃない?」
「そんな事ないっすよ。僕はBさんを常に尊敬の眼差しで見つめてるんすから」
「それそれ、それが嫌みっぽいって言うの・・・あっ、お前、髪の毛に蜘蛛の巣が付いてるぞ」
「そうなんすよ。ここ一週間毎日なんすよ。はらっても、はらっても玄関の入り口付近に毎日巣を作るです。ちょっと考えて見れば良いと思いません?あいつらも、ここに巣を掛ければ美味しい獲物が掛るだろうと思って汗水流して一生懸命に巣を作るわけでしょ」
「汗水流してるかどうかは分らんけど、あれだけ綺麗に糸を張り巡らせるのって大変な作業だろうとは思うな」最もらしい事を言うB。
「ですよね、きっとかなりの労力ですよね。でも、一晩かけてやっと作り上げた巣をですよ、僕が通っただけで全てが無になってしまうんっすよ」
「確かに気の毒だよな。俺が一生懸命に手間隙を掛けて取って来た仕事を、お前に邪魔されてぶっ壊された様なもんだもんな」
「・・・ちょっとBさん、それって例えが良く分かりませんけど、まあ、いいや。普通ならここは人間の通り道なんで、どっか他に作ろうって思うでしょ、毎朝壊されてるんだし」
「そうだよな。もしかしたら、まだ世間知らずの子蜘蛛かもな。そうやって沢山色々な経験を積んで一人前の蜘蛛になって行くのかも知れないな」
「子蜘蛛って言葉も始めて聞きましたけど、それにしても毎朝頭に来ちゃうんすよね」と髪を撫でるA。
「だけどさ、毎日巣を作っているのが分ってて、それに毎朝引っ掛かるお前もどうかと思うけどな」

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