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最終更新日:2024年04月26日
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第121話 「味音痴」

友達のBが経営する閉店後の料理店で、ラーメンの食べ歩きがマイブームだとAが言った。
「でもさ、一昔前までは、まずいラーメン屋って沢山あったけど、今は殆ど無いよな」僕が言った。
「そうだよな、昔と違って今は食を楽しむって時代だから、客の舌もこえて来てるんだよ。ラーメンに限らず、食い物屋全般に言える事だな。店の数も沢山あるし、まずけりゃ次からは他の店に行くもんな。どうせ金を払うなら、美味いに越したことないしさ、そん中で生き残るって大変な事だよ」Bが言った。
「まあ、毎日外食ばかりしてたら、破産しちまうし、家の飯が美味いってのが一番だな」Aが言った。
「俺なんか子どもの頃にそれで苦労したんだから」Bが言った。
「貧しくて飯を食わせて貰えなかったとか?」とA。
「まさか。俺達の時代でそんな事はありえんだろ」
「じゃ、どんな苦労したんだ?」Aが興味深かそうに身を乗り出して聞いた。
「家は貧乏じゃなかったんだけど、母親が凄い味音痴でな、作る料理全部不味いんだよ。その中でもカレーが最悪だったな。だから俺、カレーが嫌いだったんだ。でも学校給食で初めてカレーを食べた時は感動したね。こんなに美味い物だったんだって。カレーだけじゃなくて他の給食も全部美味かったな」Bが言った。
「カレーを不味く作る方が難しいと思うけど・・・」僕が言った。
「だから何か自分で美味い物を作ってみようと思って料理を作り始めたのが、今の仕事をする事になった切っ掛けなんだ」Bが言った。
「お前の母さんってそんなに味音痴だったっけ?子どもの頃、よく昼飯ご馳走になったけどな」とA。
その時、僕がBに言った。「おい、これってメニューにあるのか?何だか凄くしょっぱくないか?」
「やっぱりか。それはメニューにないから大丈夫」笑いながらBが言った。
「何で?美味いじゃん」と不思議そうにAが言った。
「それ、お袋が作ったんだ」

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