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最終更新日:2024年04月26日
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第124話 「隣りの犬」

僕が子どもの頃、隣りの家で犬を飼いだした。僕より二つ年上の娘さんが拾って来たとのことだった。
名前は「レオ」手塚治虫の人気アニメ「ジャングル大帝」の主人公の名前を取ってつけた。当時は犬や猫につける名前として、流行し、あちこちにレオが居た。
僕の家にも犬が居たが、レオも同じ様に可愛がった。時々、家の犬と一緒に散歩にも連れて行った。
レオは人懐っこい性格の為、番犬には向かなかった様で、ある日、隣の家が留守をしている最中に泥棒に入られた事がった。それでも飼い主である隣りのおじさんは「このバカ犬」などと言いながらもレオを可愛がっていた。
やがて年月が過ぎ、娘さんもお嫁に行き、僕も社会人となった。レオも老犬となり、寝てばかりいる様になった。
僕が会社へ出勤する時は、家の犬の頭を撫で、それからレオの頭を撫でてから車に乗り込むのが日課だった。
「レオ、どうだ?調子は?お前、家の犬より若いんだから、まだ老け込むには早いぞ、餌ももっといっぱい食べなきゃ元気になんないぞ」僕がそうレオに話しかけているとおじさんが出て来て寂しそうに言った。
「レオも今年いっぱいもつかどうかだな。最近は餌の食いも良くないしな」
それから一週間程経ったある朝、レオが突然居なくなった。
「レオ何処に行ったんだろうね。首輪を抜く力が残っていた様には見えなかったけどな・・」僕が言うと。
「最後の力を振り絞ったのかもな・・・・犬っていうのは、死ぬ姿を飼い主に見せたがらないって言うから、きっと今頃何処かで死んでるかも知れないな」主の居なくなった犬小屋の側には、鎖の繋がった赤い首輪が落ちていた。
「あんまり遠くに行けないと思うから、後でその辺を探して見るよ」だが、その日レオは帰って来なかった。
次の日、僕が会社へ行こうと、玄関のドアを開けると、犬が死んでいた。
「レ、レオ・・・。何でまたこんなとこで・・・」

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