久しぶりに友人とニジマスを釣りに行った。
ポイントがバッチリだった様で、充分に満足の行く釣果だった。
帰り際、網に入れたニジマスを左手に持ち、右手に釣竿を持って川岸を目指して歩き出した。ちょうど目の前に大きな岩場があり、その前で川原の石に足をとられ、岩場にオデコを強打。
の、はずだったが、岩についていたコケがクッションになったのか、全然痛くなかった。かなりの衝撃があったが、何事も無かった様に、そのまま歩き続け、川岸に到着した。
その時友人が叫ぶ様に言った。
「ど、どうした！その顔。血、血だらけだぞ」
手の甲で額を拭うと、真っ赤な血がべっとりと付いた。
「ウッゲー。凄い血」
そう、あれだけ強打したのだから、無傷なはずは無い。
友人も同様でどうして良いか分からない様で、同じ言葉を繰り返す。
「おい！ねれ！ねれって、横になれって」と叫ぶ。
「うん、うん」と言って横になるが、どこも痛くない。
ふと網に入った魚を見ると、一匹のニジマスの腹が裂け、真っ赤な血が出ていた。手に付いた血も生臭い。
どうやら、さっき岩場にオデコをぶつけた際、ニジマスの入った網が、岩とオデコの間に挟まり、クッションの役目を果たした様だ。
オデコの網目模様は暫く取れなかったが。