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最終更新日:2024年04月26日
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第171話 「止まらぬ入金」

取引先である、かなり高齢の社長さんが会社に支払にやって来た。
「いや~いやいや。請求書貰ってるのに振込みするの忘れちゃってさ、慌てて持って来たんだわ」
玄関先だったが、社内中に響き渡るほどの大声だった。
「わざわざどうもすみません。今、領収証を切るので少々お待ち下さい」加藤が応対をした。
女子事務員に入金確認をすると、まだ入金にはなっていなかった為、お金を受け取り領収証を社長に渡した。
「ありがとうございました」と言って加藤が頭を下げた。
「今度は気をつけるけど、何せ俺もモウロクたかって来たからさ、入金にならなかったら遠慮なく電話ちょうだいよ」
「モウロクだなんて、まだまだ大丈夫ですよ」
「ありがとう。あんただけだ。そう言ってくれるの。ガッハハハハ」豪快に笑いながら社長は帰って行った。
「でも変ですね。あそこの会社って月末払いのはずなんだけど・・」と首を傾げる女子社員。
それから三日程経ってからの事だった。
「いや~いやいや。請求書貰ってるのに振込みするの忘れちゃってさ、慌てて持って来たんだわ」
「しゃ、社長。どうしたんですか、お金って三日前に持って来たじゃないですか」
「あんた何を馬鹿な事言ってるんだ。俺は今日始めて来たんだよ。三日前は俺、東京に出張行ってたし、来れる訳ないだろ」と言ってがんとして聞き入れない。
取り合えずお金を預り、社長が帰った後に会社へ電話をした。
社長は半年前に息子さんに交代してたらしく、その後間もなくボケが始まったらしい。もし今度来たら、連絡して欲しいとの事で、携帯の番号を聞いて電話を切った。
「仕事が好きな社長だったからな。毎日忙しかったのに、急にする事が無くなっちゃったんで、ああなったんだろうな。まさかボケてたなんてな」加藤が言った。
それからまた三日後の事。
会社の玄関から聞き覚えのある大声が聞こえた。
「いや~いやいや・・・・」

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