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最終更新日:2024年04月26日
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第181話 「買い物カゴ」

ある日の日曜日、ドラッグストアーへ買い物に行くから一緒に行こうと妻が言った。
僕と一緒に行きたがる理由は、たくさん買い物をする為、荷物持ちが必要という事だ。
「どうせ今日は暇でしょ?」
こう言われると、反発したくなる。
頭の中で何か用事はなかったかと、色々考えるが、最初から無いものだから考えたって思い浮かぶはずもなく、渋々承諾する。
ドラッグストアーに行くと、日曜日なのに思ったほど混雑はしていなかった。
僕が買い物カゴを持ち、妻が商品を入れて行くお決まりのフォーメーション。
周りを見渡すと夫婦の場合、これが買い物の基本ですとも言わんばかりに旦那が買い物カゴを持ち、奥さんが商品を入れている。
何時からだろう。確か僕が子どもの頃にはこんな光景はなかったはずだと思いながら、妻と二人で店内を歩き周る。
カゴが序々に重くなって行く。
やがて、荷物が溢れんばかりの買い物カゴをレジのあるカウンターに置いた。
店員がその横に空のカゴを置き、バーコードを読み取った商品を空のカゴへと移していく。
たちまち荷物が入ってたカゴは空になり、隣のカゴに全てが移動し、精算となる。
僕は荷物の一杯になったカゴをサッカー台へと移し、妻が持参したエコバックに品物を入れる。
妻の方を見ると、荷物が入ったカゴを僕がこっちへ持って来ている事に気付かなかったのか、何時も一人で買い物に来る事が多いので、僕の事を忘れていたのか、カゴに、まだ荷物が沢山入ってると勘違いした妻は、カゴの中身も見ずに「ヨイショ」と言ってカゴの底を両手で持ち上げると、勢い余って重量挙げの選手の様に天高く空のカゴを持ち上げた。
店員は何事かと驚いた様子で妻の顔を見ている。
「お、お荷物はあちらの様ですよ」
店員は僕の方を見て言った。
妻も自分の取った行為がよほど可笑しかった様で、人目もはばからず笑っている。
そのまま笑いながら二人で店を出た。
車に乗って、ふと助手席を見ると、妻の膝の上に空の買い物カゴが乗っていた。

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