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最終更新日:2024年04月26日
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第195話 「遺伝子」

社員の山本が言った。
「羽賀さんってお姉さんか妹さんが居ますか?」
「姉ちゃんが居る。うん、多分姉ちゃんだけだと思う」
「何故曖昧なんすか?」と笑いながら聞く山本。
「うちの親父ってさ、昔し女癖が悪かったんで、もしかしたらって思ったんだ。まあ、冗談だけどな」
「お姉さんって羽賀さんに似てます?」
「うん、俺が髪の毛を伸ばしたら、殆ど姉ちゃんだな」と言って笑う羽賀。
「ああ、やっぱそうっすか」
「何でそんな事聞くんだ?」
「昨日の日曜、デパートに買い物へ行ったら、羽賀さんにそっくりな女の人を見掛けたんすよ。まさに髪の長い羽賀さんでした」
「ホントに?それきっと俺の姉ちゃんだな」
「小さな男の子を連れてたんすけど、その子も羽賀さんに似てましたよ」
「ああ、それ間違いない。絶対に姉ちゃんだ。甥っ子が居るんだけど、俺の子どもの頃にそっくりなんだ。確認してみるか?」と言って羽賀は姉に電話を掛けた。
「昨日、甥っ子連れてデパートに行ったってよ」携帯電話を折り畳みながら、羽賀が笑って言った。
「それにしても、羽賀家の遺伝子って凄いんすね」
「多分、爺さんの血が濃いのかも知れないな。親父の兄弟も皆同じ顔してるから」
「でも、何処かでその血が薄まると良いですね」
「そうだな。この顔が世の中に沢山居るだけで、環境破壊だもんなって、おい!お前は兄弟居るのか?」
「はい、兄貴と姉貴が」
「姉貴?遺伝子からいうと、お前の姉ちゃんって美人じゃないのか?」
「いえ、全然。後でここに来ますよ。夕べ姉ちゃんの家に携帯を忘れちゃって、ちょうどこっちに来る用事があるから届けてくれるって言ってたっすから」
それから少し経って来客があった。羽賀は急いで玄関へ飛んで行った。予想通り山本の姉だった。
「山本君、山本君。お姉様がお見えでございますよ」
羽賀はすれ違い様、小声で山本に言った。
「嘘つき!」

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