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最終更新日:2024年04月26日
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第208話 「朝礼」

その会社は、毎朝朝礼があり、社長を始め、社員全員が順番に毎日一人ずつ五分間スピーチをする事になっていた。
題材は何でも良く、趣味の事を話す人もいれば、家族の事を話す人もいたり、それぞれの特色が出て、聞く分には楽しい時間だった。だが、自分の番が近づくと、何を話そうかと皆の頭痛の種でもあった。
その日はAが五分間スピーチをやった。話しが終わると、専用のノートに自分の話した内容を書き、次の人へと回す仕組みになっていて、たまたま次の人が出張していたので、Aは順番を飛ばしてノートを社長の机の上に置いた。
「社長は出張で明日迄帰って来ないぞ」
隣りの席に座っていた常務が言った。
「社長なら大丈夫ですよ。即興でやってくれますって」
Aは笑いながら言った。
「怒られても知らんぞ」
「社長の次は常務なので、もしもの事を考えて、スピーチを考えておいて貰えますか?」
「おう、分かった。でもお前ってチャレンジャーだな」
「ここで僕が常務に頼んだ事は内密に・・・」
社長と常務はとても仲が悪い。それを利用してAが何かを企んでいる様だった。
そうして次の朝、Aは早速、社長に呼ばれた。
「君は俺が昨日出張していた事を知らなかったのか?」
「いえ、知ってました」
「じゃ、なぜ朝礼ノートが俺の机の上にあるんだ?」
「社長でしたら、色々な所で挨拶もしているでしょうし、即興で直ぐにお話しできるだろうと思いまして」
「俺だって朝礼の前は、いつも何を話そうか考えてから話してるんだぞ」
「ああ、そうだったんですか・・・それは失礼しました。でも、逆に安心しました。社長も僕らと一緒だったんですね。何か社長の存在が身近に感じられて嬉しいです」
Aがこう言うと、険しい顔をしていた社長の顔が一転した。
「そうか?」と言って笑顔を見せた。
「じゃ、今日は常務にお願いします。何時でも即興でやってくれるって、おっしゃってましたから」

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