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最終更新日:2024年04月26日
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第223話 「革ジャン」

毎年この時期に着る、お気に入りの革ジャンがいくら探しても見つからない。
「あの革ジャンどうした?」妻に聞いた。
「あれ捨てたよ」
「捨てた?・・・何で?」
「何だか古臭かったから」
「そりゃそうだろ!ヴィンテージなんだから!」
「そうなの?」
「そうなのじゃない!高かったんだぞ!」
「いくらだったの?」
「十万くらいだよ」
「そんなにしたの?」
「気に入ってたんだぞ!良い具合に艶とかも出て来ててさ、だいたい何で断りも無く人の物を捨てるんだよ」
「だって、あれって場所取るしさ、邪魔だし古臭かったから」
「だからって勝手に捨てることないだろ」
「ごめん・・大事な物だって思わなかった」
「で、いつ捨てた?」
「二週間くらい前だったと思う。あれ、がさ張るからゴミ袋一つ使っちゃったよ」と言って笑う妻。
「お前、笑い事じゃないだろう!」
無神経な妻の笑いに腹を立てて言った。
「だって、仕方ないじゃん。捨てた物はどうしょうもないでしょ!」逆切れする妻。
「俺の革ジャン・・・」
「誕生日にもっと良いの買ってあげるからさ」
「俺の誕生日は夏だぞ」
「夏だって、ネットで買えるじゃん。革ジャン」と自分で変な洒落を言って笑う妻。
少し腹が立ったが、捨ててしまった物は、もうどうしようもない。
次の日曜日、妻と一緒に買い物へ行った時の事だった。
「おい、あれって俺の革ジャンだ」
見ず知らずの他人が僕の革ジャンを着ていた。あの形、着こなした艶。紛れも無く僕の革ジャンだ。
「あんなの何処にでもある革ジャンだよ。同じの着てる人が居たって別に不思議じゃない・・・・あっ、あの人、ゴミ回収の人だ」
「だから見る人が見たら分かるんだよ。でも良かった。着てくれる人が居てさ、あの人にあげたと思えば腹も立たないな」
「じゃあ、誕生日に買わなくて良いね」
「それとこれとは別だ!」

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