羽賀が留守の時に女子社員が加藤に言った。
「羽賀さんて最近痩せましたよね」
「ああ、そう言われて見ればそうだな。前に愛犬のシロと一緒にダイエットさせられてるって言ってたから、その効果が出て来てるんじゃないか？」
「でも、それってかなり前の事ですよね。あの羽賀さんが今もダイエット続けてるなんてちょっと信じられない様に思うんですけど」
「うん、何時も三日坊主だもんな。確かにあり得ん」
「そんな事無いっすよ。禁煙は十日くらい続きましたから」と山本が笑いながら会話に加わる。
「まあ、せいぜい頑張ったとこでそんなもんだよ。あいつの場合」と加藤。
「じゃ、何で痩せたんでしょう？ダイエットもして無いのに・・・何か秘訣があるんだったら私も聞きたい」
「何か精神的に落ち込んでいて食欲が無くなった・・って、そんな事無いよな。昨日の昼にチャーハン普通に食ってたもんな」
「じゃ何でですかね。見た目で痩せたってハッキリ分かるくらいだから、結構な減量だと思いますけど」
「僕はきっと奥さんが何か絡んでると思うんすけどね」と山本が言った。
「うん、あり得るな。どんな手を使って痩せさせてるんだ？家で飯食わせて無いとか？」と加藤。
「もしそうだとしたら、羽賀さん可愛そう」と女子社員。
三人の間では、すっかり奥さんが原因という事になってしまった。そんな会話をしていると、羽賀が帰って来た。早速女子社員が哀れみの目で羽賀に聞くと、原因はダイエットだった。
「やっぱり痩せた？そうかそうか。じゃ俺って誰かに似てない？」と喜ぶ羽賀。
「誰っすかね？」と山本。
「きっと、もう少し痩せたら似てくるよ」と羽賀。
「誰だよ似てるって、焦らさないで言えよ」と加藤。
「いやね。俺って痩せたら反町隆に似てるって家の奴に言われたもんで」
「・・・・・」一同呆然。
「さすが奥さんっすね」と言う山本の言葉に、加藤と女子社員は大きく頷いた。