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最終更新日:2024年04月26日
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第255話 「叔父19」

叔父から電話が来た。
「おい、今晩焼肉するから来いよ」
年齢と共に、肉は食べなくなるって誰かが言ってたが、叔父の場合は全く当てはまらない様だ。 「良いよ分かった。何時に行けば良いの?」
「そうだな、夕焼けが出たころにでも始めようと思うんだけどな。飛騨牛の良いやつが手に入ったからよ、お前にも食わせてやろうかと思ってな。食った事ないべ?宮崎牛」
「飛騨牛じゃなかったの?」
「あっ、飛騨牛だったな」
夕方になり空を見上げたが、その日夕焼けは出なかった。
「お肉足りないんじゃないかな?きっとお隣りのご夫婦も来てると思うから。お酒買って行くついでにお肉も買って行く?」
叔父の家に向かう車中で妻が言った。
スーパーに寄り、精肉の売り場を見ると、十勝牛は全て売り切れになっていた。今日は暖かかったので、外で焼肉をする家庭が多い様だ。家の近所でも何軒かやっていたのを思い出した。
「これで良いだろう」僕はオーストラリア産の牛肉を手に取って言った。
叔父の家に着くと、予想通り、隣りの老夫婦も来ていた。叔父は炭を熾している。台所で焼肉の準備をしている叔母のところにあった肉を見るとやはり少し足りない様だった。
「ビールも買って来たの?家にあるのを先に飲んでからにした方がいいね。発泡酒だけどさ」と言ってグラスを用意する叔母。
缶のままで良いと思ったが、そこには叔母の策略があった。
すっかり日も暮れ、焼肉を完食した後に叔父が言った。
「さすがに飛騨牛は美味かったな。オーストラリア産と比べると全然違うな」
「叔父さん分かってたの?オーストラリア産も混じってたって事」僕が言った。
「そりゃ分かるさ。何たって俺はグルメだからよ」
僕が買って来た物を見ていたと叔母が耳打ちして来た。
「ビールはどうなの?美味しかった?」叔母が聞いた。
「ビールは最高に美味いな。いつも飲んでる発泡酒とはえらい違いだ」
コップに入った発泡酒を飲みながら満足気にグルメな叔父は言った。

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