出社した羽賀が言った。「この間、ガソリン入れたばかりなのに、もう無いでやんの」
「冬場はアイドリングとかするから余計に燃費が悪くなっちゃうんすよね」山本が言った。
「もっと燃費の良い車に変えようかな」
「東京モーターショーに出てるプリウスは、リッター61キロも走るそうっすよ」
「それ凄いな。４リットルで帯広釧路間を往復できちゃうじゃん。で、いくらするんだ？」
「４百万以上はするみたいっすよ」
「何だよ、金額的には全然エコじゃないんだな」
「俺、考えたんだけど、太陽電池を車全部に貼ったら良いんじゃないか？太陽光自動車としてさ」
「実験車輌では昔からあるみたいっすけどね。でも車全部を太陽電池で埋め尽くしたら、かなり重いんじゃないっすかね。それに黒い車ばっかりになっちゃいますしね」
「そっか、じゃあ風力発電はどうだ？車の屋根に風車付けてさ。走ってる間は、ずっと回り続けてるから発電できるだろ。電気の自給自足ってやつ」
「ガソリンで走ってる間に充電して、途中から電気に変わるって車は、もうあるじゃないっすか」
「甘いな、車が止まってても発電するんだよ。風さえあれば、屋根の上で絶えず風車が回ってるから」
「あっ、それ良いっすね。でも、メチャクチャかっこ悪くないっすか？」笑いながら山本が言った。
「馬鹿、これからはカタチにこだわってたらダメなんだよ。実用的で、なおかつエコでなきゃ。それにのどかだろ？駐車場に風車がずらっと並んでるのって」
「そうっすか？」
その話を聞いていた常務が言った。「うちの会社もエコを実践しなきゃならないかもな」
「えっ？何をどうするんですか？」と羽賀。
「まず無駄を省き、会社のスリム化を図るんだ」
「スリム化？」と山本。
「そうだ。仕事もしないで無駄口ばかり叩いている奴等をクビにしてだな・・・