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最終更新日:2024年04月26日
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第279話 「トンビが鷹を」

 加藤の長男が進学校に合格した。
「おめでとうございます。凄いっすね」と山本。
「クソも勉強しないで合格したんだから、きっとまぐれだろう」
「そんな事ないっすよ。普段から勉強ができた様ですし、日頃の積み重ねっすよ」
この日の加藤は終始ご機嫌で、口とは裏腹に無条件に嬉しい様だ。親なら当然の事だろう。加藤は退社時間が来ると家族で合格祝いをする為、早々に帰宅した。
家族九人全員で食卓につくのは久し振りの事だった。加藤の「合格おめでと~っ!」の掛け声と共に四人の子供達がクラッカーを鳴らし、盛大にパーティーが始まった。少しして加藤が長男に聞いた。
「どっちの学校に行く?」
「えっ?私立の方って入学金納めちゃったの?」
「公立がどうなるか分からなかったからな」
「私立に受かっても行かないって言ったでしょ。実力を試して見たかっただけだって。函館なんか行ったら、色々お金も掛かるしさ」
「そんな事気にしなくても良いんだぞ。家には俺と婆さんとお前の親と、働き手が四人もいるんだから、大船に乗ったつもりでいろ」加藤の父親が言った。
「いや、今回は地元の公立に行くよ」と長男。
「今回?ああ、そうだな。次の受験は大学か」と加藤。
「その為には沢山お金貯めておいて貰わないとね」
「大学に行くのって、そんなに金が掛かるのか?」と加藤の父。
「東京の大学とかに行ったら、結構掛かる見たいだよ」加藤の母が言った。
「そうだね、東京は物価が高いからね。それに学部とかにもよるよ」と長男。
「沢山お金が掛かる学部って言ったら」と加藤の妻。
「そりゃ、やっぱり医学部だろって、まさかお前・・」
「まだ分からないけどね。もし行くんだったら、あまりお金の掛からない国立に行く様にするから」
長い間、高血圧をわずらっている加藤の父親は、すっかり酔いが回った様子で孫に向かって叫んだ。
「先生!頼みます!」

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