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最終更新日:2024年04月26日
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第282話 「律子さん2」

 今日は初出勤の日。昨日買った新しいスーツを着ての出社。まだ若かりし日の新入社員の頃を思い出す。
「おっ、スーツ買ったんだな。いいじゃん似あってる」朝食を済ませ、ネクタイを締めながら主人が言った。
「昔を思い出して惚れ直したんじゃないの?」
「昔はもう一回り小さかったよな」この人は時々無神経な事を言う。
「何言ってるの!あんただって人の事言えるの?何なのよ、そのお腹!」
「これは幸せ太りだよ。お前の料理も美味いしな」
「・・・そうなの?」
「そうだよ。お互い、いつまでも若いままではいられないさ。年を取れば身体の線も崩れて来て当然だよ」
「そうだよね」私は主人を送り出した後、少しして家を出た。主人の言う通り、いつまでも若いままではいられないのだ。朝から少し興奮してしまった事を私は恥ずかしく思った。会社での朝礼の時に社長が私の紹介をしてくれた。
「今日から一緒に働く事になった田中律子さんです」形式通りの紹介が終わり、私も形式通りの挨拶を済ませた。席に着くと、隣の席に座っている女子社員が話し掛けてきた。面接の時に私の格好を見て笑った人だ。年の頃は三十代前半っていったところだろうか。
「私も田中って言うんです」
「下の名前は何て言うんですか?」紛らわしいったら。
「好子です」
「田中好子って、キャンディーズのスーちゃんじゃない。お父さんがスーちゃんのファンだったとか?」
「そうなんですよ。でも、もう一人芸能人がいるんですよ。ほら、奥の席にいる小林さん」そこには眼鏡をかけた随分と体格の良い女性が座っていた。
「小林さんってまさか?」
名は体を表すとは、よく言ったものだ。意味がちょっと違うかも知れないけど。
「そうなんですよ。小林幸・・・」とまで女子社員が言い掛けた時に思わず私は早押しクイズに答える回答者の様に大声で叫んだ。それも見た目のまんま。
「小林亜星ね!」
「こ、小林幸子ですよ」

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