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最終更新日:2024年04月26日
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第294話 「律子さん7」

 休みの日は庭いじりをする。決して広い庭ではないけれど、植物に肥料をやったり雑草を抜いたりしていると、とても心が和む。今年の春に薔薇を三本植えた。ピンクと白と黄色の三色。初夏である今、たくさんの蕾を付けている。
「ヘー薔薇を植えたんだね。全部咲いたら綺麗だろうね」
薔薇の根本にしゃがみこんで草取りをしている私の側へサンダルを履いた主人が寄って来て言った。
「そうなの、でもこの蕾の下を見てみて」私はニッコリと微笑むとそう言った。
「どれどれ、蕾の下・・?うん?何だろう?この黒っぽいゴマ見たいな・・・・ヒェ~虫、虫だ~」と叫んだ主人が恐怖のあまり体を大きくのけぞらした。その瞬間バランスを崩し、後ろに倒れそうになった。その体勢を立て直そうと、とっさに右足を前に突き出した。サンダルがもの凄い勢いで隣りの家のフェンスを飛び越えて行った直ぐ後に、主人の足の小指が私の鼻の穴に突き刺さった。
「フンゲ~、痛~い!何するのよ」と叫んだ瞬間、鼻血がドバーっと噴き出した。
「痛い!痛~い」
気が付くと私は薔薇の茂みの中に頭がスッポリ入り込んでしまっていた。四つんばいになって薔薇の茂みに顔を突っ込む私。少しでも頭を動かすと、薔薇の棘が白く綺麗な私の皮膚に突き刺さる。
「ハサミ!ハサミで切ってちょうだいよ!」と悲鳴にも近い声で私は叫ぶ。その間にもボタボタと鼻血は流れ続ける。慌てた主人は家の中に駆け込むと何処からハサミを取って来たのか、私の顔の近くの枝をゆっくりとかき分けながら私の目の前の枝を切ろうとした。
「ちが~う!それ糸切り鋏じゃないの!あんたは馬鹿か!そんなんで薔薇の枝が切れる訳ないでしょ!園芸用の鋏よ。ここにあるでしょ!私の後ろのポケット!」
四つんばいになっている私のお尻を見て主人が腹を抱えて笑い出した。
「半ケツだ!ハハハハハ」
私のこの状況を見て、何故笑ってられるんだろう?私がこの人を選んだのは間違いだったかも・・。

つづく

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