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最終更新日:2024年04月26日
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第296話 「マーちゃん19」

 友達の息子である小学五年生のマーちゃんが我が家の玄関先で挨拶をする。
「今日から四日間お世話になります。よろしくお願いします」
「父さんの会社って景気良いのかな?」僕が言った。
「社員の積み立てが沢山貯まったって言ってたから景気とは関係がないと思いますよ」マーちゃんが言った。
「良いよな。沖縄ってさ」
「そうですね。僕も行ってみたいです」
「マーちゃんも連れて行って貰えば良かったのに」
「そうは行きませんよ。慰安旅行は社員同士の親睦を深める意味では大切なものですし、僕の様な部外者が行ったら、迷惑になってしまいますよ。それにお父さんも心底楽しめないんじゃないですか」
「楽しめない?」
「そうですよ。会社での家族に見せたくない部分ってあるんじゃないですか?」
「う、うん確かにあるかも」
「僕が将来お給料を貰える様になったら、今迄お世話になった人達をどこか旅行に招待したいと思います」
「俺も入ってるのかな?」
「勿論じゃないですか」
「それじゃその時迄、うんとサービスしておくかな」
次の日、僕はマーちゃんと妻の三人で阿寒に一泊する事にした。阿寒湖で遊覧船に乗り、屈斜路湖に硫黄山とちょっとした道東巡りをした。翌日、阿寒からの帰り道に釣堀に寄ってニジマスを釣り、その日の晩は庭でバーベキューしながら釣ったニジマスを塩焼きにして食べた。最終日は日ハム戦を見に行った。
四日目の夜に友達が沖縄のお土産を持ってマーちゃんを迎えにやって来た。
「僕のお土産はどうしたんですか?」とマーちゃん。
「ご免、ホテルに忘れちゃったみたいなんだ。電話して確かめたら、もう無くなっててな」
「普通、大切な一人息子のお土産をホテルに忘れて来たりするもんでしょうか?」
「本当にご免。埋め合わせは必ずするから」
それを聞いてマーちゃんは僕に言った。
「この前の旅行の話なんですけど、お父さんは抜きにします」

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