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最終更新日:2024年04月26日
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第320話 「冬の運動(2)」

八十過ぎの爺さんが、急に全力疾走した後の体力の消耗は想像を絶するものがある様で、その後二日間、祖父は寝込む事になった。
「俺は人生残りの体力を全部使い切ったのかも知れん。もし俺が死んだら・・」
「また死んだらか。だけどさ、死んだ原因をみんな知ったら、親戚中の笑い者になるかもな」と僕は笑いながら言った。
いつもならフン!と言って年甲斐もなくふくれる祖父だが、この時は違った。
「そうだな。こんなんで死んだら末代までの恥だな」と言って祖父は腫れが引いた額を擦ると布団からゆっくりと起き上がった。
「だけど、なんであんなにスピード出したんだよ」
「いやな、少し物足りなくなって、目の前にあるスイッチを押したんだよ。最初は早歩きになって、それから小走りになって、段々と速度が出て来たんだ。その後、また段々と速度が落ちて、もとの歩く速度に戻ったんだけど、問題はその横にあったスイッチだ。最初のとはレベルが違ったな。段々早くなって、最後はどうしようもなくなった」
僕は試しに祖父の言ったスイッチを押してみると、かなりの高速だった。
「こりゃ、爺ちゃんには絶対無理だわ。俺でも続けるの結構辛いよ。ちゃんと説明書読まないとダメだよ」
「こんな危ない機械買わんきゃ良かった」その後、ランニングマシーンの手摺は、タオル掛けになっていた。
暫くして、すっかり元気になった祖父宛に、また何か荷物が届いた。
「じいちゃん、今度は何を買ったんだ?」
「ネバーギブアップだ」
包みを開けると、一時期流行したジョーバが出て来た。
「これなら、座ってできるし、安全だろう」と言って座ると、スイッチを入れた。
「ほほう~。ジョーバとは良く言ったもんだな。本当に乗馬をしてる見たいだ」
「へえ~爺ちゃん乗馬したことあるの?」
「ない」と言いながら手元にあるスイッチが気になって仕方ない様子だった。
「このスイッチは何だ?」
「よしなさいっての」

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