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最終更新日:2024年04月26日
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第328話 「律子さん13」

結婚する前からそうだったけど、主人はとても優しい人。時々イラッっと来て張り倒したくなる事もあるけど、いつも私を第一に考えてくれる。お互い会社が休みの日には、いつもより少し遅く起きて朝食を二人でとる。そんな時に小さな幸せを感じる。
居間のカーテンを開け、春特有の優しい光を浴びながら主人が言った。
「もうすっかり春だね。雪もいつの間にか無くなっちゃった」
「そうね。やっと春が来たって感じよね」
「道路も乾いてるし、走りやすそうだね」
「来週あたり、タイヤ交換できそうね」
「もうそろそろ買い代えなきゃダメじゃないか?」
「まだ大丈夫よ。去年買ったばかりじゃないの」
「えっ?そうなの?」
「何を寝ぼけた事言ってんのよ。去年の秋に一緒に買いに行ったじゃない」
「えっ?そうだっけ?」
「・・・あんた呆けたの?タイヤ一緒に買いに行ったでしょ」私の声が徐々に荒くなって行く。
「ああ、タイヤか、タイヤじゃなくて君の靴だよ」
「靴?私の?」
「そう、君のスニーカー」
主人とは、時々会話がずれる事がある。私がイラつくのはこういう時だ。
「何で私のスニーカーの事まで気にするわけ?」
「去年は毎日朝走ってたじゃないか。だからもうスニーカーも傷んだんじゃないかと思ってさ」
「そっ、そう言えばそうかもね。後で見てみるわ」
「僕も最近少し太り気味なんだよね。夕べ風呂上りに体重を量ったら、三キロ太ってたんだ」
「三キロぐらいなによ。そんなものウンコしたら直ぐに減るわよ」
「私なんてね・・・」と言いかけて私はハッとした。
冬になって走らなくなってから体重が五キロも増えたのだった。主人がさっき走りやすくなったねって言ったのは、車じゃなくて私の事だったんだ。
そう考えれば全ての会話がスムーズに成り立つ。そう思うと急にむかついて来た。
つづく

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