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最終更新日:2024年04月26日
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第349話「秋の気配」

 天気に恵まれなかった三連休の最終日。
天気が良い日はいつも庭いじりをしている祖父が、一人食卓につき、栗の皮を剥いていた。
「おっ、今晩は栗ご飯か?」
「そうだな。それも良いな」祖父は、栗の皮剥き器を食卓の上に置くと、右手で肩をトントンと叩きながら首を二、三回グルグル回して言った。
食卓の上に敷いた新聞紙の上には、祖父が剥いた栗の皮が山盛りになっていた。
「凄いな、一人でこんなに剥いたの?」
「今朝、七時からやってたから・・・三時間ちょっとか」祖父は自分の正面にある壁掛け時計を見て言った。
「でも、どしたの?こんなにたくさん」
「隣りの爺さんに貰った。あのじじい限度を知らん」と言う祖父の足元には大きめの買物袋に入った栗がもう一袋あった。
「これ全部を栗ご飯にしたら何日分かな?」
「一週間か十日分はあるんじゃないか?」
「それだけは勘弁して欲しいな」その時、出先から母が戻って来て言った。
「爺ちゃん暇?今晩、栗ご飯でもしようかと思って。もし暇なら皮剥いて貰えないかしら」
「このぐらいあれば足りるか?」と言って祖父は、剥いたばかりの栗が入ったボールを見せて言った。
「あら、どうしたの?その栗。それも凄い量だね」
祖父が隣りから貰った事を言うと、母は赤いネットに入った栗を見せて言った。
「私もね裏の奥さんに貰ったの。実家から送って来たんだって。でも、どうしようね。こんなに栗ばっかり貰っちゃって・・」
「栗料理って何がある?」と祖父。
「茶碗蒸し」と僕。
「茶碗蒸しじゃ、全然使い切れんぞ」
「じゃ、これは皮を剥かないで、剥いやつだけ使っちゃおう。栗ごはんに栗羊羹でも作ろうっか」母がそう言っている時に父が外から戻っ来た。
「いや~そこのスーパーの前を通ったら、栗が売ってたから買って来たよ。もうすっかり秋だな」

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