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最終更新日:2024年04月26日
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第353話「律子さん18」

 早いもので、今の会社に入社してから半年が過ぎた。車での通勤時の風景も、最初の頃はとても新鮮に見えたものだ。
信号持ちの時に見つけた可愛らしいレストラン。今度主人と一緒に来ようかな。なんて考えてみたり、ちょっと気になるブティックも何件か見つけたり・・。でも、そんな風景も見慣れてしまうと何とも感じなくなる。毎日が退屈な景色。最近変わった事といえば、三丁目の角にあるたいやき屋がつぶれてシャッターが閉まってる程度だ。
赤信号で車を停める。何気なく細い路地に視線を移すと『ふわふわオムツの〇〇』という看板が電柱の影から見える。ベビー用品を扱っている店の様だ。
「ただでさえ少子化だなんて言われてるのに、あんな人通りの少ない所で商売が成り立つのかしらね」思わず車内で独り言が漏れる。
会社に着き、タイムカードを押して自分の席に着くと、隣りの席の田中好子が話し掛けて来た。甥っ子が生まれたとの事だった。
「お金じゃ何だか味気ない様な気がして、何かないでしょうかね」私は今朝発見した店の事を伝えた。
「へえ~っ、そんなお店があったなんて知りませんでした。今日のお昼休みに付き合って貰えませんか?」
「えっ?何で私が?」
「だって律子さんってセンスが良いじゃないですか」どうやらこの女も私のセンスの良さを認めてる様だ。
「仕方ないわねもう」
「そのかわり、そのお店の近くに美味しい洋食屋さんがあるんで、お礼にご馳走します。今日はお弁当休みの日ですよね」
「よく知ってるわね」毎週水曜日はお弁当が休みの日。朝早くから起きてお弁当を作っている私を労って主人が作ってくれた休弁日。その店は会社から歩いて五分程の場所にあった。私は店の前に立って言った。
「ほら、ここよ。『ふわふわオムレツの〇〇』うん?オムレツ?????」
「あら、律子さんも知ってたんですね。ここの洋食屋さん。先にお昼食べちゃいましょうか」田中好子はそう言うと店のドアを開けた。

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