求人君

北海道【札幌・旭川・函館・苫小牧・釧路・帯広】のお仕事探しに求人君
最終更新日:2024年04月26日
最終更新日:2024年04月26日
TOP  > KonなんどうでShow!  > 第361話「律子さん23」

第361話「律子さん23」

 夕べは久し振りに泡盛を飲んだせいか、すこぶる調子が悪い。完璧二日酔い。
「だけど、随分飲んだよね」シャワーから上がってパンツ一枚の主人がバスタオルで髪を拭きながら言った。
「昨日『さかえ』で食べたカマンベールチーズは美味しかったよね。皮がコリコリしててさ」
「あれ本当にチーズだと思ったの?」えっ?と言う小さな声と共に主人の手がピタッと止まった。
「あれはタマタマよ」
「何だよタマタマって」
「あなたにもあるでしょう。その中に二つ」と言って私は主人のパンツを指差した。主人は股間に手を当てると、私を見て眉間に皺を寄せながら何か言いたげだったが、私は相手にする事なく、トランクから着替えを取り出して言った。
「早く仕度しなさいよ」Tシャツに短パンとビーチサンダルを主人に渡す。
「ビーサンって、海水浴に行くわけじゃないだろ」と言ってジーンズをはき、更に靴下をはこうとしている。
私の言う事を信じなさいと朝から主人を怒鳴りつける。
 沖縄では観光地を巡るバスが時間ごとに各ホテルを周っている。何種類かのコースに分かれていて、私達は美ら海水族館へ行く中部・北部のコースを選んだ。
「君の言う通りだね」バスの車窓から外を歩く人達の姿を見て主人が言った。
「そうよ、ここじゃ短パンにビーサンが一番。沖縄の人は島ジョーリって言うのよ。中には酋長みたいに年中はだしの人もいるけどね」
「・・・酋長って?」
「えっ?あっ、ほら、マサイ族とかアボリジニ族とか」
「な~んかな~」っと言ってじっと私の目を見る主人。
何かを疑っている様だ。
「でもさ、こういう旅行も楽しいね。色々なサプライズがあってさ。昨日のタマタマはさすがに驚いたけど」
こんなもんじゃないわよと言う私の声は主人には聞こえていない様だった。
主人好みの可愛いガイドさんが、コースの説明をしだしたからだ。
「楽しそうね」と言う私に、主人は子供の様な笑顔でうんと頷いた。  つづく


エリア
カテゴリ
こだわり
雇用形態