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最終更新日:2024年04月26日
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第363話「律子さん25」

 ホテルの部屋で主人の髪の毛を掻き分け、地肌を覗き込みながら私は言った。
「大丈夫、昨日より小さくなってるわ」
昨日、興奮のあまり、手に持っていた携帯の角で主人の頭をこずいた時にできたタンコブをチェックしていた。
このまま喧嘩という訳にもいかないので昨日は、とりあえず和解することにした。
「でも、何だかもったいないね。こんなに早く本島を離れちゃうのって」主人が名残り惜しそうに言った。
「これからが本番よ」ホテルのチェックアウトを済ませると私が言った。
私達は、国際通りでお土産を沢山買い、帰宅する日に配達日を指定すると、那覇空港へと向かった。
 沖縄本島から一時間程で、エメラルドグリーンの海にポッカリと浮かぶ石垣島が見えて来た。
やがて飛行機は、今年できたばかりの新石垣空港へと着陸した。
空港内のレストランで八重山そばを食べ、スタバでコーヒーを飲み、空港前からバスに乗って石垣港へと到着した。
ここは離島への玄関口となっている港で、石垣島を含め、竹富島、黒島、小浜島、西表島、鳩間島、波照間島、与那国島と八つの島がある。なので、この辺一帯を八重山諸島という。
ちなみに尖閣諸島はここから北へ150キロほど行った処にある。
石垣からは安永観光と八重山観光の2社が高速船で各島を結んでいて、島の人達にとっては、唯一の都会である石垣島への足代わりとなっている。
私は八重山観光の窓口で上原行きの乗船券を買うと、窓口の女性に聞いた。
「今日は上原は大丈夫みたいですか?」
「はい、今のところは問題ありませんよ」との返事。
「大丈夫って?」と主人。
「上原港は、波が荒くて船が入れないことがあるのよ」
「それって、危険な所ってこと?」と不安そうな主人。
「大丈夫よ。ちゃんと人が住んでる島だから」私のこの言葉が、かえって主人の不安を煽った様だ。
おどおどする主人をよそに、私はバッグから携帯を取り出すと、今日宿泊する宿へ船の到着時間を知らせた。 つづく

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