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最終更新日:2024年04月26日
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第371話「律子さん33」

 ブルーシートの四隅を木に括り付けただけの屋根の下で、私達は酋長に会った。
流木の椅子に流木のテーブル、床には小さな貝殻がたくさん敷き詰められていて、奥にはキャンプ用の小さなテントが二つ並んでいる。
「律っちゃんも変わらないね」トレードマークのカウボーイハットを被った酋長は、私の手渡すお土産を受け取りながら嬉しそうに言った。
私は横に居る主人を紹介した。
酋長というのは、勿論ニックネームで、ここ西表に長い間一人で住み続けている人だ。出身は分らない。ここではどうでも良い事だ。
ライフラインと呼ばれる物がここには存在しない事について主人が聞いた。
「夜は月と星の明かりで充分さ。音楽は波の音があるし、食べ物だってパパイヤがなってる。海じゃ魚が釣れるし、肉や調味料は店に
行けば買える。湧き水もあるし、直ぐそこに滝があるからシャーワーも完備さ」
寂しくないかと主人が聞く。
「こうやって色々な人が来てくれるから寂しくはないさ。それに、宿泊もできる様に客間もあるしさ」と酋長は二つ並ぶ奥のテントを指差して言った。この二人、気が合うのかどんどん話が盛り上がる。仕舞に今日はここに泊まると言い出した。
今日は沖縄本島でお世話になった玉城さんが来る日だったので、私は民宿の浩美さんに借りた車から、さっき買った泡盛の一升瓶を主
人に渡し、明日迎えに来る事を伝え、あけぼの館へと戻った。その途中、玉城さんが到着する時間になったので、私は車を港へと向けた。
船には玉城さんの他に、武田さんというお客さんも乗っているので、連れて来て欲しいと浩美さんから言われていた。小さな女性だからすぐに分ると言われ、上陸したばかりの玉城さんと探したが見当たらない。目に付くのは背の大きな外人。2メートル近くありそうで、若い頃のジャンクロードヴァンダムに少し似てる。そのジャンが私たちの方にやって来ると、流暢な日本語で武田だと言った。そのジャンの後ろには小さな女性が立っていた。  つづく

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