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最終更新日:2024年04月26日
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第382話「マーちゃん27」

マーちゃんが持っている皿の中を覗くと肉じゃがが入っていた。
「裕樹君のお母さんって、お料理が上手なんですよ」と言ってマーちゃんは肉じゃがを小皿に盛ると僕の前に置いた。一口食べてみた。
「美味い!」
「でしょう?」と言った後、マーちゃんは真剣な面持ちで話し出した。
「裕樹君が男の人に笑顔を見せるのって珍しいんです」
「あの頭の傷と関係があるんだね」
「見えました?あれは裕樹君が赤ちゃんの時に父親から虐待を受けた時にできた傷なんだそうです。瀕死の状態だったらしいですよ。同じ歳なのに身体も僕より小さいでしょ?脳にダメージを受けてしまったそうなんです。その事件があってから、直ぐに離婚をして、お母さんが一人で育ててきたって言ってました」
「言葉は話せないのかい?」
「話せるんですが、上手く発音とかできないから恥ずかしいんだと思います」
何かを聞く度に顔を赤くするのはそういう事の様だ。
裕樹君は去年の暮れに母親と一緒に上の階に越して来たそうだ。暫くしてマーちゃんと父親である友達は、裕樹君の母親から諸事情を聞かされ、マーちゃんはその時から裕樹君の友達になろうと決めたそうだ。
「子供って親次第でどうにでもなっちゃうんですね」
「そうだな。子供としちゃたまったもんじゃないよな」
「親を選ぶ事ができれば良いのに・・・」やり場のない怒りにマーちゃんの身体は震え、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
「もし親を選べるとしたらマーちゃんは今の親を選ぶかな?」
「勿論です。離婚してお父さんだけになっちゃいましたけど、僕はお父さんが大好きですから」
その時、マーちゃんの父親である友達が帰って来た。
「裕樹君、帰っちゃったのか?ケーキ買って来たのにな」と残念そうに言った。
その姿を見てマーちゃんが笑いながら言った。
「お父さんは、まだ裕樹君の笑った顔を見たことがないんですよ」

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