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最終更新日:2024年04月26日
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第428話「ヤマちゃん」

東京から友達の山田が里帰りした。早速、仲の良かった友達を何人か集め、食事会をする事になった。
ちょうどAが家を新築して間もなかったので、新築披露も兼ねてAの家で食事会をする事になった。友達はABCと僕を含め全部で四人。後はAの家族である奥さんと三歳になったばかりの長男の隼人。
四人が揃って少ししてから玄関のチャイムが鳴った。
Aが隼人に言った。
「お前の好きなヤマちゃんが来たぞ」喜んで玄関に向かって走って行った隼人だったが、直ぐに戻って来た。
「ヤマちゃんと違う」
今度は奥さんが玄関へと向かった。玄関の方からは奥さんと山田の声が聞えた。
「何だヤマちゃんじゃないか。お前、照れてるんだな」と、Aは膝の中に居る隼人の頭をなでながら言った。
「立派な家を建てたな」と言いながら、奥さんの後から入って来た山田を見た瞬間、全員が言葉に詰まり表情が固まった。
「俺もこっちに帰って来たくなっちゃったな。東京じゃこんな庭つきのマイホームは絶対無理だもんな」
「そ、そうだな」とA。
「帰って来たらいいよ」とB。笑い上戸のCは山田と目を合わさずに隼人と遊んでいる。鼻の穴を膨らませ、必死に笑いを堪えている。
僕ら五人の中でも、山田は一番真面目で、時々冗談が通じないところもあった。だから難しい。指摘するべきか、知らないふりをするべきか。そして、全員がとっさに後者を選んだのだ。
正直、からかい半分で笑い飛ばせたらどんなに楽か。
僕は山田を見て何で今更?って思った。恐らく僕以外も全員がそう思っただろう。
「それじゃ始めまちょうか」Aがかんだところを隼人が聞いて大笑いしているが、誰もそれに同調しようとはしない。何ともぎこちのない食事会が始まった。
やがて酒も入って時間が経つと、以前と変わらず昔話で盛り上がる事ができた。
その時、テレビを指差して隼人が言った。
「あっ!ヤマちゃん」
テレビでは、男性カツラのCMが流れていた。

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