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最終更新日:2024年04月26日
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第423話「律子さん46」

日曜日の昼時だった。
「ピザをお持ちしました~」私が玄関のドアを開けると、そこにはA子が立っていた。
手には平べったいピザの箱を持って微笑んでいる。
A子が今日遊びに来る時に、ピザを買って来ると言っていたのを思い出した。
A子とは高校で三年間、同じクラスだった。当時はクラスでも目立たず、あまり会話をする事もなかった。友達もいなかったと思う。
休み時間も一人で席にいて、窓の外を眺めては時折、ニヤついている姿を何度か見かけた事がある。
こうして遊びに来るのも、ここ最近の事だ。私はA子があまり得意ではない。
見た目はごく普通なのだが、腹の奥底にドス黒い何かを溜めこんでいる様な、何とも言い様のない薄気味悪さを感じるのだ。
私はピザの香りと一緒にA子を部屋に招き入れた。
ピザは美味しい物だと思っていたが、不味いピザがあるって事もこの時知った。
A子は、ピザを一口食べると言った。
「私、今仕事を探してるんだけど、なかなか見つからなくてさ、それで最近は旦那から嫌みを言われるのよ」
「嫌みってどんな?」A子は旦那の口調を真似て、「仕事なんて探せば何だってあるんだ。お前に働く気がないから見つからないんだ」大きな溜息をついたA子は更に続ける。
「あの人、転職した事ないから、仕事を探す事の大変さを分かってないんだよ」
「私も今の会社に入る前はいろいろ面接受けたから分かるよA子の気持ち」とは言ったものの、私の場合一社目で見事採用になったが、ここはA子に合わせる。
「それにね、俺は人一倍努力して来たからこそ今の地位があるんだって、そこから自慢話が延々と続くのよ。バカみたいでしょ?自慢話をする男って最低よね。相手が不快になるのが分かってないんだよね」
「そうだね。嫌な男ね」
「もう最近は顔も見たくないから離婚してやろうと思うんだ」
「ちょっと、それって穏やかじゃないわね。旦那と話し合ってみたの?」つづく

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