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最終更新日:2024年04月26日
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第465話「マーちゃん35」

友達の息子である小学五年生のマーちゃんとスーパーですき焼きの材料を買った。
マンションの入り口で急にマーちゃんがしゃがみ込んで何かを拾い上げた。
「何処かの家の鍵でしょうか?落とした人は困ってるでしょうね」
「ここの住人じゃないか?」
「いいえ、ここはカード式の鍵なので、これは違います」鍵には不釣り合いなほどの大きなトトロのキーホルダーが付いていた。
「どうしたら良いでしょうね。交番に届けます?」
「この辺に交番はないしな。もしかしたらこの辺りを探しているかも知れないな」
「何処か目立つ所に置いておきましょうか?あっ、ちょっと待って下さい」と言ってマーちゃんは鍵を僕に渡すとマンションの中へと入って行った。
そして直ぐに戻ると「これで入口の壁に貼ったら目立ちますよね」ガムテープをちぎりながらマーちゃんが言った。
「おっ、そうだな、ここなら目立つだろう」僕等は鍵の処置に満足すると、風でブラブラと揺れるトトロを後に、中へと入った。
二人で肉や野菜を皿に盛り付けていると、父親である友達が仕事から帰った。
お帰りなさいと言った後で、マーちゃんは入り口で何かに気付かなかったか訊いた。
「別に変わったところは無かったと思うけどな」
「えっ?あんなに分かりやすい所にあるのに気付かなかったんですか?」
「何があるんだ?入口に」
「小さいから目立たないのかも知れませんね。お父さんは鈍感だから対象外としても、もっと分かりやすく落し物って大きく書いた紙を貼った方が良いかも知れませんね」
マーちゃんは裏面が白いチラシを机に置いてマジックで大きく(おとしもの)と書いた。事情を知った友達はマーちゃんの書いた物を見て笑った。
「お前、五年生にもなって(おとしもの)って何だよ。漢字分からないのか?」
「相変わらずお父さんの考えは浅いですね。鍵を落とした人が小さな子供だったら漢字が読めないかも知れないじゃないですか」
「なるほど確かに」友達は大きく頷いた。つづく

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