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最終更新日:2024年04月26日
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第466話「マーちゃん36」

マーちゃんは風でブラブラ揺れるトトロの隣に(おとしもの)の貼り紙をした。
「これなら遠くからでも見えますね」と言った後、トトロが汚れない様にと、小さなビニール袋で覆った。
「お前、なかなか細かいところに気がつくんだな」
「はい、お陰様で、ずぼらな大人と一緒に暮らしていると、こういった感性が研ぎ澄まされて来る様です」
「ふん!悪かったな、ずぼらな大人で」
「いえ、逆に僕はお父さんに感謝しているぐらいです」
「反面教師は最高の手本だっていうからな」と僕が言うとマーちゃんは笑った。
三人ですき焼きをつついていると、外はいつの間にか真っ暗になっていた。マーちゃんと僕は鍵の事が気になって入り口へと見に行ったが、トトロはまだそこに居た。
貼り紙の余白には、ここの住人のものと思われるコメントが書いてあった。
(はやくむかえにきてよ~。さむいよ~)更にその横に違う文字で(おうちにかえりたいよ~)
「へ~っ、ここの住人って結構洒落っ気があるんだな」
「そうですよ。みなさん良い人ばかりなんです」風は止んでいた。トトロは壁を背に、もたれ掛かる様にじっと動かない。
翌朝「できましたよ~」マーちゃんの声で目が覚めた。
昨日、僕は酔い潰れてマーちゃんの部屋で一緒に寝たのだった。
テーブルにはマーちゃんが作った朝食があった。
「何も無いですけど食べていって下さい」マーちゃんがニッコリ笑ってご飯をよそってくれた。友達はまだ寝ている様だ。
僕等は朝食前に鍵がどうなったか気になって見に行くと、そこにもうトトロは居なかった。
その変わり、貼り紙の余白には緑のクレヨンで、大きくてたどたどしい文字が書かれていた。
(ひろつてくれてありがとう)僕等は急いで道路に出て左右を確認すると、小さな女の子がおばあちゃんらしき人と手を繋いで歩いて行く後ろ姿が見えた。
女の子のもう片方の手には、トトロが嬉しそうにブラブラと揺れていた。

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