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最終更新日:2024年04月26日
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第514話「律子さん66」

母との電話は続く。
「残りの二枚は渡したの?」
「あれも保留中」ついに死に欲がたかったか。
「どっちにしてもお母さんには派手だって」
「あら、お友達はみんな私の着物を見て粋だって褒めてくれたよ」人にあげるはずの着物がいつから私の着物になったのか、徐々に私の胸の中で、雪の様に深々と怒りが降り積もっていく。
「今度あんたの持ってる着物チェックさせてよ。私が着れる着物がまだあるんじゃない?もし、あんたが着ないなら私がもらってあげるよ」と上から目線。
「ふん、ババアに似合う着物なんて持ってないよ」
「大丈夫よ、普通のババアが派手で着れない着物だって、私なら着られるんだからさ、若いババアに感謝しなさいよ。フフフフ」これ以上話すと完全に切れると思った私は、電話を一方的に切った。
それから何日かして母から電話があった。着物を見に来る気でいるのかと、一瞬身構えたが、母は前回と違い、随分と低姿勢だった。
「お隣の奥さん凄く喜んでたよ。今度、あんたんところにもお礼に行きたいって」
「ふん、若いババアでも無理だって悟ったんだ」
「うん、あの後ね、お父さんに凄く怒られてね。私ったら勝手な事ばっかり言ってご免なさいね」普段あまり怒らない父が、母の行動を見かねて時折落とす雷は、中々の迫力がある。父の言う事は一々筋が通っており、理詰めで責められると、感情でものを言う母に反論する余地はない。
「でね、着物の会は解散する事にしたの」そこまで父は突っ込んだのかと驚いた。
「みんな年金暮らしなのに無理して着物買ったりしてたみたい。解散してほっとしたって」結局は見栄っ張りの集団だったのだ。遅きに失した感は否めないが、まあ良かった。
「でね、今度から月二回開催の新しい会を作ったの。同じメンバーでね」暇な婆さん達のボケ防止なら月二回ぐらいが妥当だろう。
「名称はグルメ会よ。今週はフレンチのフルコースなの。何着て行こうかしら」

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