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最終更新日:2024年04月26日
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第527話「神頼み」

加藤が夕食後、ビールを飲みながらテレビを見ていると息子の携帯が鳴った。
「あっ、お参りの時間だ」
「何だよ、アラームか?」
「そうだよ、忘れたらごりやくがなくなるもん」
「お前の兄貴は受験当日に神棚にお参りしただけだぞ」加藤が呆れた顔で言った。
「だからだよ、兄貴が受験当日なら、俺なんか今からやっとかないと間に合わないじゃん」
「なるほどな、お前は兄貴と違って勉強できないもんな」と加藤が笑う。
「そうそう、ケツから数えた方が早いんだからさ」と他人事の様に息子も笑う。
「何事も早い方が良いっていうのは分かるけど、ちょっと違うんじゃないか?」
「何だよ、違うって」
「やる事もやらないで神頼みはないだろうって事だ」
「困った時の神頼みって言うじゃん、兄貴だって実際そうだったんでしょ?」
「違うよ、困ってじゃない。あいつは勉強もたくさんして、後は運を天に任せるって事でお参りしたんだ。人事を尽くして天命を待つっていうやつさ」
「何だよ、そのジンジンつついてテメエとマツって」
息子の言葉に加藤は深いため息をつきながら言った。
「受験にはまだ二年ある、まず勉強をしっかりやる事だな」
「だけどさ、兄貴って本当に勉強したの?俺、ほとんど見た事ないんだよね」
「してたさ、お前が寝てる時にな」
「マジ?じゃ、俺も勉強したらできる様になるかな?」
「そりゃなるよ、兄弟なんだから」
加藤の言葉に一瞬考え込んだ後、何かがひらめいた様に息子が言った。
「そっか、俺ってバカだよな~っ、ただ漠然と高校に受かります様にって頼んでもダメなんだ、ちゃんと勉強しなきゃ。勉強が好きになれば、する様になるし、できる様にもなるよね」
「好きこそ物の上手なれっていうからな」やっと理解してくれたと喜ぶ加藤。
「そうそう何だかよく分からないけどそんな感じかな、だからさ、お参りの内容を変えればいいんだ」
息子は神棚の下で柏手を打ちながら言った。
「どうか勉強が好きになります様に」

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