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最終更新日:2024年04月26日
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第532話「いつものこと」

時計を見ると朝の六時。
あと一時間三十分は寝ていられるはずだった。
「おい!大変だぞ!寝てる場合じゃないぞ!」祖父が僕の部屋を乱暴に開けると、大声で叫んだ。
「な、なんだよ~何があったっていうんだよ~」
「北朝鮮がミサイルをぶっ放したんだ」と興奮しなが言う祖父。
「そんなのいつもの事だろ」
「携帯に連絡が来たんだ、頑丈な建物に避難しろって」
「携帯に?誰から」
「政府だよ」
「誰だよセイフって」
「政府ったら政府だ、日本政府だ!」
「何で爺ちゃんの携帯に政府から連絡が来るんだよ」
「知らんわそんな事、いいから早く起きろ!」そう言い残すと、祖父は見たこともないスピードで階段を駆け下りて行った。
今日は父が出張、母は友達と旅行なので、祖父と二人きりだった。
僕が下に降りて行くと、祖父が政府からだと言って携帯を僕に見せた。
「ああ、Jアラートだよ、俺のところにも来てるじゃないか?」と言って僕は自分の携帯を手に取りながらテレビの画面を見て驚いた。
「・・・頑丈な建物か地下に避難して下さい。対象地域、北海道、青森・・・」何?この緊迫感のある画面。
「うそ、マジで?」
「だから言ったべ、空襲警報みたいなもんだべ?これ」
「だけど何処に避難すんだよ、頑丈な建物って何処よ」
「あっそうか、防空壕なんてないしな」と言いながら祖父は手際よくリュックに何やらつめ込んでいる。
テレビの画面がさっと切り替わった。ミサルは千キロ先の海に落ちたとの事だ。
「ほら~いつものだって」
「そうなのか?何だって紛らわしいな、今にもミサイルが落ちて来そうな・・・」
その時、隣の爺ちゃんが背中に大きなリュックを背負って駆け込んで来た。
「空襲警報が出たぞ!」祖父は驚異的な速さでパンパンにしたリュックを何食わぬ顔で、そっと机の下にすべり込ませてから言った。
「馬鹿もん、うろたえるな見苦しい、いつもの事だ」

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