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最終更新日:2024年04月26日
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第652話「なぜか好々爺3」

サトルは思い出した様に笑いながら話す。
「最初、親に会わせた時はさ、全然俺の子だって信じなくてさ、友達の子供を使って、ドッキリでも仕掛けてるかと思ったんだって」
「ハハハそりゃ信じないっていうより信じたくなかったんだろうな。たんぱらなお前の親父の事だ。何発かぶん殴られたろう」と祖父。
「うん、よく分かったね。ほらここ、まだ少し痕残ってるしょ?」とサトルが左の頬骨の辺りを指差す。
「でもさ、今じゃ家の親も、可愛い可愛いって取り合いするほど可愛がってくれてるんだ。最初はマジでやばかったもん。親父があんなに切れたの初めてだったし」
「当たり前だ!無職の息子が急に子供を連れて来た上に、結婚もしないって大概の親はぶっ飛ぶぞ」と父。
「だよね。でもさ、シングルマザーじゃなくシングルファザーってのも格好良くね?」サトルは丸い金属製のピアスが光る舌をペロっと出すと、少し照れくさそうに笑った。
除雪が終わり、家に入ると父が言った。
「まあ、サトルらしいか」
「でも、あそこまで大胆だと思わなかったな」と僕。
「大胆というより、子供は授かりものだって事をサトルはちゃんと分かっとるんだ。だから子供を第一に考えたんだ。優しい子だし、ちゃんと父親としてやっていけるだろう」と祖父。
「爺ちゃんさ、今日は随分サトルに関して物分かりが良いっていうかさ、どうしちゃったの?」
「そうだな、好々爺って言うか、何か変だ」と父。
「そ、そうか?そんな事はないぞ。いつもと変わらん」
「まあ理由はどうあれ、働く気になったのは良かったけどな」と父が言いながら、着替えをしに奥へ行ったのを見て祖父が言う。
「昔は大変だったんだぞ。腹が目立たん様にさらしを巻いて祝言を挙げたもんだ」
「今でいうできちゃった結婚だね。身内に居たの?」
「俺がそうだったからな」
「ハックション!」トイレの方から父のクシャミが。
「親父は知らないんだね」
「うん、知らんはずだ」

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