友達の子どもで、弁の達者な子が居る。まだ小学校四年生なのだが・・・。
「マーちゃん。久し振りだな。元気だったか？」
「いらっしゃいませ。はい、元気でやっております」と会釈しながら彼は言った。
自分よりも目上の人には全て敬語を使う。親が特別厳しい訳でもない。
「相変わらず礼儀正しいんだな。マーちゃんは」
「はい。特に目上の方には気を使います」
「別に俺には気を使わなくてもいんだよ」
「いえ、目上の方には、きちんとしなくてはなりませんから」
「そ、そうか。あっ！そういえばマーちゃんは今月誕生日じゃなかったっけ？」
「はい、よく御存知で。今その件について父ともめていたところなんです」と、何だか少し不機嫌そうだ。
「いやな、誕生日のプレゼントのことなんだよ」友達が言った。内容を聞くと、パソコンが欲しいと言ったので、もう少し大きくなってから買ってやると言ったことに対して口論になったと言うのだ。すぐさまその続きが始まった。
「さっき何でも買ってやるって言ったじゃないですか」
「よし、中学生になったら入学祝に買ってやる。な、それでいいだろ？」
「中学生ってまだ四年も先の話じゃないですか。そんなに長く僕に待てと言うんですか」涙ながらに彼は訴えた。

つづく