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最終更新日:2025年04月30日
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第715話「汗だく」

羽賀がエアコンの効いた社内に戻ると、ホッとした顔をして言った。
「いや~ここは天国だな」
「外は凄いだろ」と加藤。
「36℃ですもん、もう地獄ですよ」
「30℃以上が何日も続くなんて、ちょっと異常ですよね」と女子社員。
その時、汗だくになった山本が外から戻って来た。
「なっ、なんなんだ、お前のその姿は!」と驚く加藤。
「まるでどこかで泳いできたみたいだ」と羽賀も驚く。
山本は額から流れる汗を止める為なのか、細長く折ったティッシュを額にペタンと貼り付けると言った。
「ほら、最近少し太ったでしょ、ちょうど近くのお客さんだったから羽賀さんのチャリ借りて行ったら、予想以上に暑いし遠いしで」
「お客さん驚きませんでしたか?」と女子社員。
「うん、かなり。冷たい麦茶を三杯もご馳走になった」
羽賀は自転車通勤しているのだが、連日の猛暑対策で朝6時に出勤している。
「朝は清々しくて気持ち良いけど、昼はだめだって言ったのに」と羽賀が笑う。
「この炎天下じゃ命にだって係わるぞ」と加藤。
「でも、僕の汗だくな姿を見て契約してくれましたよ。一生懸命仕事している姿に胸を打たれたそうです。
若者が汗を流す姿は見ていて気持ちが良いとも言ってくれました」と嬉しそうな山本。
「え~っ、そうか!」と加藤も一応は嬉しそうだ。
「汗だくな姿が人の心を打つのか・・・よし!行って来ま~す」と出かける羽賀の姿を窓から見ていた女子社員が、苦笑いして言った。
「自転車で行きましたよ」
「あのバカが!」と加藤。
やや暫くして、お約束通り全身濡れネズミになった羽賀が戻って来た。
「大丈夫か?それにしても酷い姿だな・・・で、どうだった?」と加藤。
「気の毒に思ったみたいで、契約してくれました」
「じゃ、お前の汗を見て気持ち良いってか?」
すると羽賀は、首を大きく横に振って悲しそうに言った。
「海から上がって来た半魚人みたいだって・・・」

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