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最終更新日:2024年04月26日
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第335話「カブ」

 日曜日の遅い午前中にテレビを見ていると、祖父が側に来て言った。
「どうだ?アベノミクスで給料は上がりそうか?」
「それってデフレを脱却してからの話でしょ?」
「そっか、まだ先の話か」
「お前は株に詳しいか?」
「株?何で?」
「いやな、隣の爺さんが株で結構儲けてるらしいんだ」
「へ~っ、隣りの爺ちゃん株やるんだ」
「最近は乱高下が激しくて参っちゃうなんて、一端の投資家見たいな事言ってやがんだ。あのじじい」
「株やろうと思ってんの?」
「隣りのじじいに出来て俺に出来ない訳がない」
「素人が下手に手を出さない方がいいよ」
「始めはみんな素人だろ」
「そうだけどさ。何でそんなに儲けたいの?」
「お前達に財産を残してやりたくてな」祖父は嘘をつくと、鼻の穴が大きくなる。
この時もそうだった。
「前に爺ちゃんが言ってたろ?金は額に汗してコツコツ地道に稼ぐもんだって」
「そうだけど・・あっ!株と言えば」急に何かを思い出した様だ。
「お前はアメリカの婆さんの話を知ってるか?」話がとんでもない方へと飛んだ。
「何だよそれ」
「宝くじ売り場で並んでいた人が婆さんに買う順番を譲ったら、その婆さんが五百九十億当たったって話」
「ああ、知ってるよ」
「譲ったのは、子ずれの母親だったらしいが、婆さんに順番を譲ったばっかりに大金を逃したんだぞ」
「運がなかったんだな」
「俺にはこの母親の気持ちが痛いほど分かる」何を言おうとしてるんだろ?
「冷蔵庫に入ってたカブの漬物、全部食ったべ!お前がカブの漬物が好きだから、取っおいてやったのに、それを全部食べやがっ
て!少しくらい残しといてくれても良いんでないか?」
「何の事だよ。知らないよカブの漬物なんて」その時親父が居間にやって来た。
「あっ!あいつか?」
「多分ね」
祖父は親父の方を見ると大声で言った。
「お前はアメリカの婆さんの話を知ってるか?」

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