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最終更新日:2024年04月26日
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第188話 「叔父14」

叔父から電話が来た。
「おい、ちょっと頼みがあるんだけど」
随分と真面目ぶった様子で叔父が言った。
「頼み?何?」
僕が警戒しているのを悟った様に叔父は言った。
「ああ、そう言えば、桜子は元気か?」
叔父が無理やり僕の家の庭に植えた桜の木の事を言った。
「今ちょうど満開だよ」「そうか、そりゃ良かった」
「何?何なの?何か用事があるんでしょ?」
「あのよ、チンチロリンを預って欲しいんだ」
チンチロリンとは叔父が飼っている犬の名前である。
以外と簡単な頼みだったので少々拍子抜けだった。犬が大好きな僕は直ぐに了解した。
「で、何日預れば良いの?」
「いっ○×△*#・・間」
「えっ?何?良く聞こえないんだけど」
「いっ○×△*#・・間」
「何だって?一週間?」
僕は片方の耳を押さえながら大声で言った。
「何か電波の調子が悪いみたいだな・・・。ちょっと長いけど、大丈夫か?」
「一週間位なら大丈夫だよ」
どうやら熊本に住む叔父の息子のところへ叔母と一緒に遊びに行くらしい。
三日後、叔父はチンチロリンを僕に預け、毎日散歩へ連れて行く様頼むと、叔母と二人で熊本へと旅立った。
何故か大量のドッグフードを置いて・・・。
真っ白で体の大きいチンチロリンは、見た目は怖く見えるが、とても大人しく、僕にも良く懐いていた。
預って三日目の事だった。
チンチロリンの首輪に小さな巾着袋が付いている事に気付いた。中には小さく折り畳んだ手紙が入ってた。
(一ヶ月も預ってくれてありがとう。僕、良い子にするので宜しくお願いします)
叔父の字だった。
あの日、携帯の電波の調子が悪いと言ってたが、今思えば、あれは携帯からの電話ではなかった。
叔父は、わざと聞き取りにくい言い方をしたのである。
またやられた~と思った。
これで大量のドッグフードも納得できた。
でも、良いこともあった。
それは、毎日のチンチロリンとの散歩で体重が5キロ減った事だ。

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