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最終更新日:2024年04月26日
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第301話 「目覚め」

 テレビを見ている僕の横に祖父が座ると、僕の顔を覗き込む様にして言った。
「今の政治をどう思う?」
「なしたの?急に」
「お前の率直な意見を聞きたいと思ってな」
「政治には余り興味ないけど、何とか景気良くして欲しいよね」
「そうだよな」
「だから何だよ、変だって」
「最近、俺は政治に目覚めたんだ」
「八十過ぎて?」
「国を憂う気持ちに歳は関係ない」
「まあ、立候補でもするんじゃなければ関係ないか」
「次の選挙には投票に行こうと思うんだ。四十年振りにな」
「へ~そんなに?そういえば爺ちゃんが投票に行ったの見た事ないもんな。支持政党とかあるの?」
「そんなものはない」
「でも良い事じゃない。国民の権利だし、無駄にしたら勿体無いよね」
「いや、権利と言うより、むしろ義務だと思ってる」
「爺ちゃん、何か変な物食ったんじゃないか?」
「どうしてだ?」
「いつもと違うよ。それともボケたか?」
「ボケた人間がこんな真っ当な事を言う訳ないだろ」
「普段真っ当な事を言わない人間が真っ当な事を言うからだよ」
「確かに俺らしくないかも知れんな。お前の言う事はもっともかもな」
その時、母が外から戻って来た。
「おお、婆さんお帰り」
母は怒って祖父に言った。
「誰が婆さんだって?」
「だって俺と三つしか違わないじゃないか」
「じ、爺ちゃん・・・婆ちゃんは十年も前に死んだだろう」
「何を言ってるんだ!俺の女房を勝手に殺さんでくれ。それにお前は誰なんだ?さっきから爺ちゃん爺ちゃんって、俺はまだ三十代だぞ」と怒り出す。
「・・・うそでしょ?」僕。
「・・・」驚く母。
「はは、驚いたか!ボケてるってのは、こういうのをいうんだよ。ははは・・・。あれ?何だっけ?今まで何の話しをてたんだっけ?」

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