求人君

北海道【札幌・旭川・函館・苫小牧・釧路・帯広】のお仕事探しに求人君
最終更新日:2024年04月26日
最終更新日:2024年04月26日
TOP  > KonなんどうでShow!  > 第154話 「マーちゃん5」

第154話 「マーちゃん5」

小さな熱帯魚を数種類買って、友達の家へ行った。
「いらっしゃいませ」
玄関先で小学五年生のマーちゃんが軽くお辞儀をしながら僕を迎えた。
「ほら、綺麗だろ」
「ありがとうございます」
居間には砂利と水草だけが植えてある水槽があって、それを見て僕が言った。
「おっ、いい感じだな」
「はい、ちゃんとおじさんの言う通りにしました。でも水槽や熱帯魚って高い物なんでしょ?いくら僕の誕生日だからって、良かったのでしょうか?何だか申し訳無いです」
「いいんだよ。そんな事気にしなくたって」
ちょうどその時、父親である友達が仕事から帰って来た。
「良かったな。毎日カレンダーに印を付けながら楽しみにしてたんだもんなあ」
少し照れくさそうにマーちゃんは笑った。 魚を水槽に放すとマーちゃんが言った。
「わ~っ!綺麗ですね」
それを見た友達が言った。
「明日は仕事が早く終わるから、俺も魚を買って来てやるよ」
その日マーちゃんは寝る直前まで水槽を眺めながら終始ご機嫌だった。
次の日の夜、マーちゃんから電話が掛かって来た。
「お父さんがお魚を買って来てくれたので、これから水槽に放しま~す。それではお父さん。どうぞ!」
実況中継のつもりらしい。
「ジャジャ~ン。それでは只今より放流致します」
友達も結構乗っている様だ。
「とっても綺麗なお魚です。あっ!エッ?ダメ、早く取って下さい。他のお魚を食べてるじゃないですか!○×△#*」
最後は泣き声も混じり何を言ってるのか不明。
「あら?網は?やっべえ。おい網、早く網持って来い」
ガタンという音と共に、マーちゃんは受話器を放り出した様で、パニックになった親子の様子が受話器を通してこちらにも伝わって来た。
暫くして泣きながらマーちゃんが電話に出た。
「エンゼルフィッシュっていうから・・大人しい魚だと思ったのに・・・あれじゃ・・・デビルフィッシュじゃないですか~」

エリア
カテゴリ
こだわり
雇用形態