ある日曜日の朝、最近は雀を見かけなくなったと言う会話を夫婦でしていた。
「昔はたくさん居たのに、どうして居なくなちゃったのかな？」ベランダの窓を拭きながら妻が言った
「そうだよな、電線にとまっている姿も殆ど見かけなくなったしな」
「家の庭に呼んでみる？」
「うん？どうやって？」
「ご飯粒とか撒けば来るんじゃない？」
「面白そうだな。でも、そんなに上手く行くかな？」
「きっと来るって」
妻のこの言葉に騙され、脚の付いた餌箱を作らされるはめになった。
ホーマックで材料を揃え、自宅前の庭で日曜大工をする。回りを見渡すが、雀の姿は何処にも見えない。
こんなんで本当に来るのかと思いながら餌箱を作り続け、完成する頃には、夕方になっていた。
妻がやって来て、早速ご飯粒を入れ、朝食にサンドイッチを作った際のパンの耳も入れた。
「入れ過ぎじゃないか？」
僕が言う。
「この方が分かりやすくて良いじゃん」と妻。
翌朝、久しぶりに早起きをした。昨日作った餌入れに雀は来てくれただろうか。
ドキドキしながら、妻と一緒に静かにカーテンを開けると、ベランダの窓にそっと顔を近づけた。
そこには真っ黒で大きな鳥が三羽餌箱に群がり、パンの耳を美味そうに食べていた。
「カーカー」と鳴きながら。