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最終更新日:2024年04月26日
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第309話 「草木も嫌うお年頃」

 何年か振りで病院に行った。子どもの声が小さな病院内にあふれている。待合室の直ぐ横に、子どもが遊べる小さな部屋があり、木製の小さな滑り台や積み木や絵本が置いてある。最近の病院はこういった子ども用のスペースを設けているところが多い様だ。
そこでは、子どもが三人で楽しそうに遊んでいた。よく見ていると今日初めて会ったばかりの様だったが、自然と上下関係が生まれて来る様だ。三人とも三歳から四歳といったところだろう。オレンジっぽい服を着た子が、二人の子を仕切っている。滑り台の順番も決めている様だ。やがて黄色っぽい服を着た子が青っぽい服を着た子と絵本の取り合いになった。そこに割ってオレンジの子が入る。仲裁に入ったのかと見ていると、二人が取り合いをしている絵本を強引にむしり取ると、自分だけで読み始めた。黄色い子が大声で泣き出す。オレンジの子の母親が、注意する。
「ナオ!ダメでしょう!」
「うるえせ!ババア!」
それ以上、母親は何も言わない。青い子が違う絵本を見ていると、ナオはその本も取り上げてしまう。青い子は本を取り返そうと自分より体格の良いナオに向かって行くが、頬をビンタされると、か細い声で泣き出し、母親の元に駆け寄って行く。泣きながら、しきりに事の理不尽さを訴えている様だった。
それを見た初老の男性が、「皆で仲良くしなくちゃダメだよ」とニッコリ笑いながら言うと、ナオは大声で叫んだ。
「うるせえ!ジジイ!」
驚いた顔で母親の顔を見る初老の男性。
「すみません」と言って顔を赤くする母親。
「ナオ!そんな事言うんじゃないの!おじさんに謝りなさい」母親は声を荒げる。
「うっせんだよ!ババア!」
「言う事聞かない子は先生に頼んで大きな注射してもらうからね」と言う母親の声も全く無視して絵本を読み続けるナオ。その時、看護士が待合室にやって来て名前を呼んだ。
「鈴木ナオコさん」

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