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最終更新日:2024年04月26日
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第366話「律子さん28」

 波の音で目が覚めた。カーテンを開けると、まだ昇って間もない太陽が、オレンジ色の光を放ち、ゆらゆらと揺れる海面を照らしていた。
スクリーンに映る映画のワンシーンを見ている様だった。あけぼの館の裏は通称、あけぼのビーチと呼ばれていて、プロのダイバーも絶賛するほどの美しさだ。
「わ~っ、綺麗な夕日だね」
「あさ日だっての!」昨日、主人は日没前に酔い潰れ、朝まで熟睡していた。自分が驚くほど長い時間眠っていた事を知らされ、目を丸くする。今日は滝を見に行く事に昨夜の飲み会で決まった。ここ、あけぼの館では、毎晩お客同士が会話を楽しみ、酒を酌み交わす。知らない者同士でも直ぐに仲良くなれる。セコイ話、泡盛が飲み放題なのだ。
「俺も行かなあかんの?」荒木ちゃんが言った。
「どうせ暇なんだから一緒に行こうよ」酔ってテーブルに突っ伏した主人の横で私は言った。結局、その場に居たお客さん五人も加わり、八人で「ピナイサーラの滝・見学ツアー」は開催される事になったのだ。
 現地に着くと、山の上から流れ落ちる滝が、麓のジャングルから排出される水蒸気によって霞んで見える。
私達は、荒木隊長を先頭にジャングルの中へと入って行った。獣道の様なコースはアップダウンを何度も繰り返す。時折、足元を派手な配色のトカゲが横切る。虫やトカゲが大嫌いな主人は、全く気付いてない様だ。
ジャングルの中は、直射日光が当たらない分だけ涼しいと思いがちだが、もの凄く湿度が高く、木々の幹は苔むしている。
少し息が上がりがちで、汗だくになった私達は、暫し休む事に。
巨大なクワズイモの木陰に居る荒木ちゃんの横に立ち、主人はペットボトルのお茶を飲んでいた。その時、私は主人の股間に何か黒い物
がへばり付いているのを発見した。主人に悟られない様に股間を凝視すると、それはサソリだった。居るとは聞いていたが、初めて見た。刺されても蜂に刺された程度だが、場所が場所だけに・・・。   つづく

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