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最終更新日:2024年04月26日
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第47話 「番犬」

 長年飼っていた犬が死んだ。雑種だったが、頭の良い犬だった。その犬が死んでから暫くして、親父が仔犬を貰って来た。北島三郎が好きだった親父は名前を『サブ』とつけた。
このサブはとても臆病な犬で、見知らぬ人を見ると、怖がって犬小屋から出て来ない始末。それを見て親父は何時もやきもきしていた。
ある日、僕が仕事から帰るとサブがどこにも居ない。
「サブは?」僕が親父に聞くと「旅に出した」と訳の分からない事を言った。
「捨てたんだろが!何でそんな可愛そうな事するんだよ」
僕は親父が捨てたと言う場所へ行ったが、サブは何処にも居なかった。
その次の日、会社帰りに親父の車を発見した。サブを捨てた辺りをのろのろと走っている。その日から毎日親父の帰りが遅かった。本人は残業をしてたと言うが、嘘は見え見えだった。
三週間後、僕が帰宅すると、サブは玄関横に繋がれていた。大きくなっていた。
「今日、サブが自分で帰って来たんだ。人を見ても怖がらなくなったし、随分逞しくなったぞ。可愛い子には旅をさせろって言うけど、本当だな」親父が言った。
「その間、親としては心配で、居ても立ってもいられないんじゃないか?」僕がこう言うと、親父は顔を赤らめて、「うん」と頷いた。
この後サブは十四年間、我家の番犬として立派に仕事をまっとうした。

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