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最終更新日:2024年04月26日
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第484話「マーちゃん38」

友達の家の玄関のチャイムを鳴らすと、いつもはマーちゃんが出て来るのだが、今日は違った。
マーちゃんとは小学五年生になる友達の息子の事である。
「あれ?マーちゃんは?」
「出かけてる」と玄関まで出て来た友達が、ぶっきら棒に言った。
「何処行ったんだよ」僕は部屋の中を見回した。
「キャンプ行ったよ。何だよ、マーちゃんマーちゃんって」不満そうな顔の友達。
「だって俺はいつもマーちゃんに会いに来てるんだし」
「そうなの?俺に会いに来てるんじゃなかったの?」
「誰がお前なんかに会いに来るよ」
「あっ、ひでえな。それよっかさ、今晩どっか飲みに行かないか?」何故か僕等は久しぶりに一緒に飲みに行くことになった。
居酒屋で二人、ほろ酔い気分でいると、僕の携帯が鳴った。マーちゃんからだ。
「どうした?寂しいのか?」
「いえ、すごく楽しいですよ。ほら、お父さんの携帯を持たされてるから使わないと寂しがるじゃないですか」楽しいのは声を聞いてるだけで分かったが、僕自身、何故か寂しく感じた。
父親である友達がトイレへ行ってる事を伝えると。
「僕が居ないからって、あんまりハメを外さない様にって伝えてもらえますか」
「分かった。伝えるよ。もしかして家にも電話した?」
「してませんよ。どうせ二人で飲みに出てるんだと思ってましたから」
「おっ!凄い勘だな」
「お父さんの子供を長い間してると分かりますよ」
ちょうどその時、友達が戻ったので僕は携帯を渡した。
「どうした、もう親が恋しくなったか?玄関の鍵?忘れないよ。明日の朝?うん、チンするよ。お前もちゃんと言う事聞いてな、それじゃあな、お休み」携帯を僕に戻すと友達は言った。
「全く、やっぱり子供だな。もしもの為にって携帯持たせたのに、何だかんだ言いながら掛けて来るなんてさ」
「そういう事にしとこうか」と僕が笑いながら言うと友達も笑いながら言った。
「お前、人の事言えるの?」
「いや、言えない」

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