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最終更新日:2024年03月28日
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第536話「ちいさな小指」

隣りの家の孫である四歳児の健太がやって来た。
「おっ、久し振りに悪ガキの登場だ。爺さんはどうした?またパチンコか?」祖父が健太に訊く。
「うん、そう、よく飽きないもんだ」と少し寂しそうな顔をする健太。
「本当だな、酒に女に賭け事、三拍子そろったろくでなしだ。でも今は歳を取ったもんだから、賭け事だけが残ったわけだ」
「賭け事?って」
「パチンコがそうだな、でも今は可愛いもんだ。昔は賭け事の他にも次から次と女を作ってな」
「女を作ったの?」
「そう、これだ」と言ながら祖父は小指を立てる。
「爺ちゃん、子供相手に何言ってんだよ」僕が祖父をたしなめる。
「あ、ああそうだな。まあ今は何だ・・あれでも随分と真面目になったんだぞ」しどろもどろになる祖父。
「ママがお婆ちゃんは苦労したって言ってた」
「そうなんだ。あの馬鹿者のせいで・・・」
「今日は何して遊ぶ?」健太のペースに乗せられている祖父を見かねて、僕が話題を変えるが、健太は今迄の話の意味が分かっているのか、妙に大人びた口調で
言った。
「俺は結婚しても奥さんを大切にするんだ。孫ともちゃんと遊ぶし」
「そうだな、でもな、お前の爺さんもちゃんとお前の事を考えてるんだぞ、今日だって、ちゃんと弁当を作ってくれたんだろ?」と言って祖父は健太のリュック
を指さす。
「今日はおにぎりを作ってくれたんだ」と嬉しそうに応える健太。
「そうだろ、お前の事を大切に思っている証拠だ」
健太は嬉しそうに頷くと、リュックからダンプのおもちゃを取り出した。やっぱり四歳児、可愛いものだ。
だがよく見ると、ダンプの荷台には、健太と同じくらいの女の子が一緒に写ったプリクラが貼ってあった。
「おっ、可愛い子だな」と祖父が笑うと。
「きりん組のニチカだよ。俺のこれ」と言って健太は小さな小指を立てた。

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