ウィンドウズとマックを間違えて買った叔父から、また電話が来た。
「あのパソコンだめだわ」
「何で？」
「ワードとエクセルが使えないんだもん。話にならんわ。何の為のパソコンか分からん」
ワードとエクセルの一部しか使う事のできない叔父にとっては当然の理屈の様に思えた。
「マックは叔父さん向けじゃないんだよ」と分かりやすい様に僕は言った。
「お前いらんか？」
「だって買ったばかりでしょ。それにそんな金ないよ」
「金なんかいらんて、部屋に置いてあっても、邪魔なだけだし、ただで良いから貰ってくれ。頼むわ」
「よっちゃんにあげたら？」と僕は、叔父の息子の名前を言った。
「あいつもウィンドウズ持ってるし、いらんてよ」
「そんじゃ何？パソコンまた買うの？」僕が聞いた。
「うん。もう買った。ベスタって言うやつな」
「ああ、ビスタね」
電話の向こうでは、息子に二階にあるマックを運ばせようとしている様だった。
「今から持って行かすな」
と、その瞬間、受話器の向こうから「ドドドド、バリンガシャ～ン」とけたたましい轟音が響いて来た後、叔父の罵声が聞こえた。(このバカ！何やってんだ。あらら、こんなにバラバラになっちゃって)
そして僕に言った
「なあ、パソコンって燃えないゴミか？」