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最終更新日:2024年04月26日
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第577話「楽しみは後で」

疲れた顔で函館出張から戻った山本が、女子社員にお土産を渡しながら言った。
「函館、遠いよね。高速に乗っても六時間だもん」
「お疲れ様でした」と女子社員がねぎらいの声を掛けながら包みを開けると、今度は嬉しそうな声を上げた。
「わっ!チーズオムレットだ!ありがとうございます。三時にみんなで食べましょう。ちょうど人数分あるし」
「なんか人気がある様だったから、買ってみたんだ」
「さすが山本さんですね」
「何だよ、何で俺の方を向いて言うわけ?」と羽賀。
「知ってます?羽賀さんなんて函館行った時のお土産、いか徳利だったんですよ。よく修学旅行生が、お父さんに買うお土産ですよね。女子向きじゃないでしょう」
「お前は充分おやじくさい」
「羽賀さんは無しですね」お菓子大好きの羽賀が、大慌てで謝りながら機嫌をとる。
「羽賀さんチーズ大好きっすもんね」と山本が笑う。
「そうなんよ、あっ、お前もしかして俺の為に?」
「いえ、全然違います」
「あっそう。三時過ぎるけど、一個とって置いてね。楽しみだな~」と言い残して羽賀は出掛けて行った。
暫くして加藤が戻った。
「加藤さん、山本さんのお土産が冷蔵庫に入ってるから食べて下さいね」
「五勝手屋羊羹か?」と冷蔵庫の方へ向かう加藤。
少しして、声だけが聞こえて来る。
「おっ!美味いなこれ」加藤はこちらへやって来ると、半分に割ったチーズオムレットを女子社員に渡した。
「もういらないんですか?」女子社員は受け取ると、幸せそうな顔で口へと運んだ。
「さすがに二個は多いな」
「えっ?一人一個ですけど」
「二個あったから一人二個かと思った。でも、どうせ余りだから良いよな」
それを聞いた女子社員の顔色が変わる。
ちょうどその時、ご機嫌な羽賀の声が聞こえた。
「ただいま~」羽賀は嬉しそうに満面の笑みを浮かべると、鼻歌まじりで冷蔵庫へと向かった。
翌日、要冷蔵の宅急便が会社に届く。加藤が注文した品物だ。中身はもちろんチーズオムレット。

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