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最終更新日:2024年04月26日
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第630話「熱帯夜2」

必要な物ってこういう時に限って持ってないものだ。
「コンビニに戻って警察に連絡してもらおう」と僕。
「そうだな、家の人も探してるかもしれんしな」そう小声で祖父は言うと、笑いながら男性に話しかけた。
「そこのコンビニまで一緒に行きませんか?久しぶりにビールでも飲んで話でもしましょう」と祖父が誘うと、かなり乗り気な男性。
「どこからいらしたんですか?」コンビニへの道すがら、何気に祖父が訊く。
「三茶からです」
「さんちゃん?」と祖父が首を捻って僕を見る。
「三茶だよ。東京の三軒茶屋の事じゃないか?」と僕が小声で説明する。
「ああ東京・・で、いついらしたんですか?」と祖父。
「いつって、今ですよ。三茶はすぐそこじゃないですか、いやだな~僕と同じ歳なのにボケちゃ困りますよ」と笑う男性。
コンビニに着き、僕が店員に事情を説明すると、警察が来るまで僕らも店に居て欲しいと頼まれた。気持ちは良くわかるので、僕らは店の横にある公園に居ると伝えて店を出た。
「うちの爺ちゃんと同じ歳なんですか?」男性を真ん中にして公園のベンチに座ると、僕が訊いた。
「そうですよ。この人は九月生まれで私は六月生まれだから、私の方が少し先輩って事になりますかね」と勝手に九月生まれにされた祖父を見て笑う男性。
「随分、若く見えますね」
「ハハ・・まだ三十三ですからね。孫も居るんですよ」この辺りが支離滅裂だ。
そろそろ相手をするのも苦痛になってきた頃、パトカーがやって来た。
警察も馴れたもので、三茶の自宅まで送ると言って男性をパトカーに乗せた。
僕らはコンビニ店員に無事済んだ事を伝えると、気を効かせてくれた店員が、さっき買ったビールを冷たいものと交換してくれた。
家に着くと父が言った。
「随分と遅かったな。あれっ?ビールがまだ冷たいな」
すると祖父は、すました顔で言った。
「すぐそこの三茶で買ったからな」
「さんちゃ?そんな店あったか?」
「店じゃない三茶は三軒茶屋の事だ」
「三軒茶屋ったら東京・・・だろう」
「そうだよ、他にどこにある」
「・・・・・」父。
父は驚いた顔で祖父をしばらくの間じっと見てから僕に言った。
「おお、おい、どうしたんだ!暑さのせいか?こういう時は何だ、あれか?やっぱり救急車か?」

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